Windows10(1809以下)でIntelのイーサネットアダプタードライバを使うにあたっての留意点です。
インストールのはまりどころや、Windows10(1903,1909)へのバージョンアップ時に出る障害などになります
目次
Intelのイーサネットアダプタードライバ
ハードウェアがIntelのNICであっても、Windows10を普通に使う場合はWindows標準のデバイスドライバで問題ありません。
NICが複数ありチーミングを組むとか、VLANを使うといった場合にはIntelのイーサネットアダプタードライバをインストールする必要があります。
しかし、ここで問題となるのは「Windows10のアップグレード」と「Intelのイーサネットアダプタードライバのバージョンアップ」です。
Windows10(1803,1809)からアップグレードでWindows10(1903,1909)にした際に以下のようなトラブルが国内外で報告されています
①NICが見えなくなる
②チーミングが壊れた
既存のチーミングがなくなった、存在しているが有効化できない。全てのチーミングを削除するとNIC自体は正常に通信できるが、再び作成したチーミングは無効のまま有効化できない。
③VLANがなくなった
既存のVLANは無効になったままで有効にすることができない。全てのVLANを削除するとNIC自体は正常に通信できるが、再び作成したVLANは無効のまま有効化できない。
状況
Intelのイーサネットアダプタードライバで、チーミングやVLANの設定ができるようになったのはバージョン22.0.1からです。また、ネットワークアダプタのプロパティからGUIでVLANやチーミングの設定ができるのは、バージョン22.10以前 のものになります。
バージョン23.0以降は、powershellでの設定となります。
さらに、Windows10(1903)はバージョン24.1 から対応となっています。
バージョン | 公開日 | 対応Windows | URL |
24.3 | 2019/11/04 | ~ 1909, GUI無し | https://downloadcenter.intel.com/ja/download/25016/Ethernet-Windows-10 |
24.2 | 2019/08/16 | ~ 1909, GUI無し | https://downloadcenter.intel.com/ja/download/29148/Ethernet-Windows-10 |
24.1 | 2019/06/27 | ~ 1909, GUI無し | https://downloadcenter.intel.com/ja/download/29023/Ethernet-Windows-10 |
23.5.2 | 2019/02/06 | ~ 1809, GUIあり | https://downloadcenter.intel.com/ja/download/28907/Ethernet-Windows-10 |
22.0.1 | チーミングとVLAN有効 |
ドライバのインストール
NICのチップセットによっては、ドライバのインストール時にインストーラがアダプタを見つけられずインストールに失敗することがあります。また、NICの管理アプリケーションは必要ないのでインストールはしなくとも構いません。
必要なのは、NICドライバとIntel ANS(アドバンスト・ネットワーク・サービス)です。
そのため、セットアップファイルを展開して個別にインストールします。
NICドライバ | .\PROWinx64\APPS\SETUP\SETUPBD\Winx64\SetupBD.exe |
Intel ANS | .\PROWinx64\APPS\PROSETDX\Winx64\DxSetup.exe |
powershell での操作
ドライバのバージョンが 24.1 以降の場合は、チーミングやVLANの設定は powershell で行う必要があります。詳細はIntelのこちらとこちらまで。
VLANの設定
①PowerShellを管理者権限で起動します。
②Intelのモジュールをインポートします。
必要ないかもしれませんが念のため。
Import-Module IntelNetCmdlets もしくは Import-Module -Name "C:\Program Files\Intel\Wired Networking\IntelNetCmdlets\IntelNetCmdlets"
③ネットワークアダプタ名を取得します。
Get-IntelNetAdapter
④VLANを設定します。
ここでは例として、物理NIC:Intel(R) I350 Gigabit Network Connectionに、VLANID:10のVLAN Interfaceを追加しています。
Add-IntelNetVLAN -ParentName "Intel(R) I350 Gigabit Network Connection" -VLANID 10 VLANID VLANName ParentName ------ -------- ---------- 10 VLAN10 Intel(R) I350 Gigabit Network Connection
複数のVLANIDなら以下になります。
Add-IntelNetVLAN -ParentName "Intel(R) I350 Gigabit Network Connection" -VLANID 10,11 VLANID VLANName ParentName ------ -------- ---------- 10 VLAN10 Intel(R) I350 Gigabit Network Connection 11 VLAN10 Intel(R) I350 Gigabit Network Connection
なお、VLAN Interfaceを初めて作成する場合は、上記コマンドでVLAN Interface作成までに5分程かかる場合があります。
⑤VLANを確認します。
Get-IntelNetVLAN
⑥その他のコマンド
作成後にVLAN Interfaceの名前とVLANID:1 変更する場合はいかになります。
Set-IntelNetVLAN -ParentName "Intel(R) I350 Gigabit Network Connection" -VLANID 10 -NewVLANName "testnet" -NewVLANID 1 VLANID VLANName ParentName ------ -------- ---------- 1 testnet Intel(R) I350 Gigabit Network Connection
作成したVLAN Interfaceを削除する場合はいかになります。
Remove-IntelNetVLAN -ParentName "Intel(R) I350 Gigabit Network Connection" -VLANID 1
チーミングの設定
①PowerShellを管理者権限で起動します。
②Intelのモジュールをインポートします。
必要ないかもしれませんが念のため。
Import-Module IntelNetCmdlets
③ネットワークアダプタ名を取得します。
ここでは、複数のネットワークアダプタの名前を確認します。
なお、Intelのネットワークアダプタは一つあれば、他社のアダプタとチーミングを作成することができます。
Get-IntelNetAdapter
④チーミングを構成します。
ここでは例として、物理NIC x2 でチーミング(Team A)をアダプター主導のロードバランシングで作成しています。
New-IntelNetTeam –TeamName "Team A" –TeamMemberNames "アダプタ1の名前","アダプタ2の名前" –TeamMode AdaptiveLoadBalancing
もし、アダプタ名を入力するのが面倒な場合は以下で作成ができます。
$Adapters = Get-IntelNetAdapter New-IntelNetTeam –TeamName "Team A" –TeamMemberNames $Adapters[1].Name, $Adapters[2].Name –TeamMode AdaptiveLoadBalancing
なお、上記コマンドでチーミング作成までに30秒~数分程かかる場合があります。
⑤チーミングを確認します。
Get-IntelNetTeam
⑥その他のコマンド
既存のチーミングにアダプタを追加する場合はいかになります。
ここでは例として、チーミング(Team A)にアダプタ3を追加しています。
Set-IntelNetTeam -TeamName “Team A” -SecondaryAdapterName “アダプタ3の名前"